上唇を引き上げる筋肉が強く働いていることが原因の場合、ボトックス注射が有効な選択肢になります。
ボトックスとは、特定の細菌が作り出す成分から精製された医薬品で、注射した部位の筋肉の動きをしばらくの間抑える働きがあります。上唇挙筋に少量を注射することで、笑ったときに上唇が引き上がりすぎるのを抑え、歯茎の露出を軽減します。
施術自体は短時間で終わり、メスを使わないため、ダウンタイム(日常生活に戻れるまでの回復期間)も短く済みます。
ガミースマイルとは、笑ったときに上の歯茎が大きく見えてしまう状態のことです。英語で歯茎を意味する「Gum(ガム)」と「Smile(スマイル)」を組み合わせた言葉で、医学的な病気ではなく、見た目に関する状態を表しています。
目安として、笑顔のときに上の歯茎が3mm以上見える場合をガミースマイルと呼びます。日本人は欧米人と比べて骨格の特徴からこの状態になりやすい傾向があり、決して珍しいものではありません。
健康上の問題を引き起こすわけではないため、必ずしも治療が必要というわけではありません。一方で、笑顔に自信が持てない、人前で口元を手で隠してしまう、写真を撮るときに笑えない、といったお悩みを抱えている方は少なくないのが実情です。
当院では、ガミースマイルを「治さなければならないもの」とは考えていません。
患者様ご自身が気にされていて、改善を希望されている場合に、その原因に合った方法をご提案するという立場で診療にあたっております。
原因によって適切な治療法が大きく異なるため、まずは「なぜ自分はガミースマイルになっているのか」を知ることが、改善への第一歩になります。
ガミースマイルは、見た目は同じように歯茎が見えていても、その背景にある原因はさまざまです。原因を正しく見極めることが、自分に合った治療を選ぶうえでとても重要になります。
ここでは、4つの主な原因について説明します。
上顎骨(じょうがくこつ)と呼ばれる上あごの骨が、垂直方向に過剰に成長していると、それに合わせて歯茎の位置も下に下がります。
結果として、笑ったときに歯茎が露出する面積が大きくなり、ガミースマイルとして目立ちやすくなります。
これは骨格そのものの問題のため、軽い処置だけでは改善が難しい場合があります。骨格性のガミースマイルは、成長期を過ぎてから明らかになることが多く、ご本人が「いつの間にか気になるようになった」と感じられるケースもあります。
笑うときに上唇を持ち上げる「上唇挙筋(じょうしんきょきん)」という表情筋があります。この筋肉の動きが人より強い、または活発な方は、笑ったときに上唇が大きく上に引き上げられ、その分だけ歯茎が見える範囲が広くなります。
骨格や歯並びに大きな問題はなくても、この筋肉の働きが強いだけでガミースマイルになる方もいらっしゃいます。
普段の表情はそれほどでもないのに、思い切り笑ったときだけ歯茎がよく見えるという方は、このタイプである可能性が高いと考えられます。
歯そのものが本来の長さよりも短く見えていると、その分だけ歯茎の見える面積が増えてしまいます。これには大きく分けて2つのパターンがあります。
本来の歯の長さは十分にあるのですが、歯茎の縁が下りてきていないために、見えている部分が短くなっています。
この場合は矯正治療によって歯の位置を整えることで改善が見込めます。
歯茎が炎症を起こして腫れている、あるいは何らかの理由で厚みが増している場合も、歯茎が目立つ原因となります。主な原因として次のようなものが挙げられます。
このタイプの場合、まずは歯茎の炎症を抑える治療が優先されます。歯茎の状態が落ち着いた段階で、改めて見た目を確認することが多いです。
ガミースマイルの治療は、原因と希望される改善の度合いに合わせて選択します。一つの方法ですべてが解決するわけではなく、複数の治療を組み合わせることもあります。
ここでは、当院で対応可能な治療法と、外科手術を要する重度のケースに対する考え方について説明します。
上唇を引き上げる筋肉が強く働いていることが原因の場合、ボトックス注射が有効な選択肢になります。
ボトックスとは、特定の細菌が作り出す成分から精製された医薬品で、注射した部位の筋肉の動きをしばらくの間抑える働きがあります。上唇挙筋に少量を注射することで、笑ったときに上唇が引き上がりすぎるのを抑え、歯茎の露出を軽減します。
施術自体は短時間で終わり、メスを使わないため、ダウンタイム(日常生活に戻れるまでの回復期間)も短く済みます。

ただし、効果はずっと続くわけではなく、おおよそ4〜6か月程度で薄れていきます。改善を維持するためには、決まった間隔での施術を続ける必要があります。
「まずは試してみたい」「メスを使う処置はできるだけ避けたい」という方に向いている方法です。
歯茎が歯の表面を覆いすぎていることが原因の場合は、歯肉整形術という方法が選択肢になります。
これは、過剰にかぶさっている歯茎の縁を整え、歯本来の長さがしっかりと見えるようにする処置です。当院では、出血や腫れを抑えやすいレーザーや専用の器具を用いて行います。
処置自体は1日で終わり、麻酔を使用するため施術中の痛みは抑えられます。

術後は数日間、刺激の強い食事を避けていただくなどの注意点はありますが、日常生活への影響は少なく済みます。
ただし、歯茎は時間の経過とともに再び元の位置に戻ろうとする性質があるため、長い目で見ると変化が生じる可能性があります。また、歯茎の下にある骨との位置関係によっては、この方法だけでは改善が難しい場合もあります。事前の診査で適応かどうかを慎重に判断いたします。
歯の位置が低い、前歯が前方に傾いている、噛み合わせの関係で上の歯列全体が下がっている、といったケースでは、矯正治療によって歯の位置を整えることでガミースマイルの改善が期待できます。
矯正治療では、装置を用いて歯を少しずつ動かし、骨格に対して適切な位置に歯列を導いていきます。骨格の問題が軽度から中等度であれば、矯正単独でかなりの改善が見込める場合もあります。

治療期間は症状によって幅があり、おおむね1〜3年程度が目安です。矯正治療は時間がかかる一方で、ガミースマイルだけでなく、噛み合わせや歯並び全体を整えられるという利点があります。
歯の長さが短く見えていることが原因の場合、セラミッククラウンを用いて見える部分を長く整える方法もあります。
歯冠とは、歯のうち歯茎より上に見えている部分のことです。セラミック製の被せ物を用いて、この見える部分の形と長さを整えることで、歯茎の存在感を抑えていきます。

歯肉整形と組み合わせて行うことも多く、見た目の白さも同時に整えられる点が特徴です。
ただし、健康な歯を削る必要があるため、適応については慎重な判断が必要です。当院ではメリットだけでなく、削ることによるリスクについても事前に十分にご説明したうえで、患者様にお選びいただいています。
上顎骨の過成長による重度のガミースマイルに対しては、上顎骨そのものを移動させる外科手術が、原因から取り除く解決策となります。
ただし、入院と全身麻酔を伴う大きな手術となるため、口腔外科を専門に扱う大学病院などの高次医療機関での対応となります。

当院では、検査の結果こうした対応が必要と判断される場合には、信頼できる連携先をご紹介いたします。
無理に当院だけで治療を完結させようとはせず、患者様にとってふさわしい医療機関にお繋ぎすることを重視しております。
ガミースマイルの治療では、見た目の改善という目的があるからこそ、事前の診査と計画作りに時間をかけることが大切だと考えています。ここでは、当院で初めてご相談いただいた場合の流れをご紹介します。
最初のステップは、患者様のお話をしっかりと伺うことです。
どの程度の歯茎の露出が気になっているのか、どんな場面で困っているのか、どのくらいの改善を望まれているのか、こうした点を丁寧に確認します。
また、過去の歯科治療や、現在服用中の薬についてもお聞きします。一部の薬は歯茎の状態に影響を与えるため、原因を見極めるうえで重要な情報となります。
ガミースマイルは原因によって治療法が大きく異なるため、検査で原因を正しく見極めることが欠かせません。当院では、以下のような検査を必要に応じて行います。
これらの結果を合わせて、骨格・筋肉・歯・歯茎のうち、どの要素がどの程度関係しているのかを分析します。
検査結果をもとに、考えられる治療法を整理し、それぞれの内容・期間・費用・想定されるリスクを書面と口頭でご説明します。
複数の選択肢がある場合は、それぞれの長所と短所を比較できるようにお伝えします。
その場で決めていただく必要はなく、ご家族と相談したうえで、後日改めてお返事いただいて構いません。
なお、ガミースマイルの治療の多くは見た目の改善を目的とするもので、健康保険の適用外となります。費用については、最初の段階で必ず明確にお伝えしますので、納得いただいたうえで治療を開始いたします。
ガミースマイル自体は病気ではないため、ご本人が気にされていないのであれば、無理に治療する必要はありません。
ただし、笑顔に自信が持てない、人前で口を開けて笑えない、といった心の負担があるのであれば、改善のご相談をされることをおすすめいたします。
笑顔は人と関わるうえで大切な要素のひとつですので、コンプレックスの解消につながるのであれば、治療を検討する価値は十分にあると考えています。
個人差はありますが、おおむね4〜6か月程度です。効果が薄れてきた段階で再度施術を行うことで、状態を維持していただけます。
最初のうちは効果の出方を確認しながら、適切な量と間隔を調整していきます。継続して施術を受けるうちに、効果が安定してくる方も多くいらっしゃいます。
治療法によって異なります。
ボトックス注射は細い針を使用するため、痛みはごく軽度です。歯肉整形術は局所麻酔を使用するため、施術中の痛みはほぼ感じません。
術後については、ボトックス注射ではほとんど痛みは出ません。歯肉整形術では、術後数日間は軽い違和感や鈍い痛みを感じることがありますが、市販の鎮痛剤でコントロールできる範囲がほとんどです。
治療法によって異なります。
ボトックス注射は効果が一定期間で薄れていくため、続けての施術が必要です。歯肉整形術は、術後に歯茎が少しずつ元の位置に戻ろうとする性質があるため、長い目で見ると変化が生じる可能性があります。
矯正治療や歯冠長延長は長く持続する改善が見込めますが、加齢による歯茎の変化までは防げません。
決まった間隔での検診で状態を確認していくことが、結果を長く保つために重要となります。
ガミースマイルの治療は、見た目の改善を目的としたものがほとんどであるため、原則として健康保険の適用外となり、自由診療として行います。
ただし、歯茎の腫れが歯周病によるものなど、病気の治療として行う場合は保険が適用されることもあります。詳しい費用については、検査後の治療計画のご説明時に明確にお伝えいたします。
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